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10年ほど前までE型肝炎ウイルス(HEV)は日本にはいないと考えられていましたが、
なんと、
日本での土着が確認されています。
3年前にHEVの検査薬が保険適用になり、原因不明の急性肝炎がたくさんあったために調べてみると、3分の1ほどがE型肝炎だったと分かっています。2012年に牛レバーの生食販売が禁止された影響で、生の豚レバーを提供する店が増えている。それに伴いE型肝炎ウイルス感染者が増えてしまったようです。
肝炎とは、
肝臓の細胞に炎症が起こり、肝細胞が壊される病態で、原因には、ウイルス、アルコール、自己免疫等があります。
E型肝炎は、飲食物から感染するウイルス性の急性肝炎です。病原体はE型肝炎ウイルス(HEV)という名称です。感染した人の便中のウイルスに汚染された飲食物を食べることによって感染します。
ブタ、シカ、イノシシ、ウシなどの多くの動物がE型肝炎ウイルスに感染し、このような動物からの感染もあります。
以前は発展途上国特有の病気で、先進国での大半は輸入感染症と考えられてきた。しかし全く渡航歴の無いE型急性肝炎患者がみつかるようになってきて、ウイルスが既に土着したことがわかっています。
2003年4月、兵庫県の野生シカ肉生食でのE型肝炎ウイルス食中毒事例が、特定の食品の摂食がE型急性肝炎発症との間の直接的な因果関係を確認した最初の事例です。
さらに「国内発症例」が散見されるようになり、日本にも「土着株」があること、「人獣共通感染症」であることが明らかになってきました。
養豚場の豚は飼育中にほぼ100%がHEVに感染しますが、症状を出さないので養豚農家も気づかず、商品として流通してしまうようです。
スーパーで市販されていた生豚レバーの一部からE型肝炎ウイルスの遺伝子が検出されたり、ウイルス遺伝子検査でイノシシ肉との因果関係が確認された事例も報告されています。
E型肝炎の症状は発熱、黄疸、食欲不振、肝臓の腫れなどで、慢性化せず、一過性で治癒するのが一般的です。
だが、E型肝炎も一部が高度肝機能障害にまで至る「劇症化」の恐れもあり、最悪の場合は死亡します。
妊婦(第三半期)に感染すると劇症化しやすく、致死率が20%に達することがあります。
厚労省は野生鳥獣肉(ジビエ)の安全性に関して検討会を開いた。ジビエ料理は自然の恵みとして珍重され、町おこしの特産品などとして注目されているが、法律に基づく食肉処理時の衛生検査は無いようです。
治療方法は現在のところ対症療法しかありません。
劇症化した場合には、さらに血漿交換、人工肝補助療法、肝移植などの特殊治療が必要です。
ワクチンは開発段階です。
予防は簡単で、E型肝炎は水系感染症で、汚染された水や食物の生食・加熱不十分で感染します。
唯一の予防策は公衆衛生の向上・改善です。E型肝炎ウイルスは75℃1分で死滅してしまうため、十分に加熱した上で喫食すれば安全です。