中国が一人っ子政策を廃止!深刻にした目的・政策は!?双子はどうしてたの?2020年3つの問題?

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36年続いた中国の「一人っ子政策」がついに廃止されることになりました。

経済運営の5カ年計画を討議する中国共産党の党中央委員会第5回全体会議(5中全会)が29日閉幕し
中国政府はすべての夫婦に2人目の子供を産むことを認め、人口抑制の国策「一人っ子政策」を完全に廃止すると決定したようです。早ければ年内にも実施されるようです。

そもそも「一人っ子政策」とはどんなもの・目的だったのでしょうか?
中国で1979年に施行された政策です。
急激な人口増加を緩和するため、一組の夫婦につき子供を一人に制限し、二人目からは罰金を科すものです。
双子はどうしたのでしょう。

中国では70年代にかけ、人口の多さを国力ととらえた当時の最高指導者、毛沢東氏が多産を奨励し、全土で食糧危機が広がりました。当時の中国は人口が増加の一途をたどり、食糧や資源の確保という観点から生育政策を推し進めることになりました。

政策の効果によって出生率が持続的に低下したことにより、
2012年には1.21人まで下がります。人口は4億人余り抑制され、目的は達成されたといえます。

しかし違反していたら、罰金の額がハンパなかったようで「社会扶養費」と称した事実上の罰金が徴収されています。北京市の場合を見てみると、大体平均年収の3~10倍(支払い能力による)だそうです(日本円で換算すると200~500万円)。
しかも3人目は2人目の罰金×2です。

一人っ子政策によってかなり深刻な状況になっています。
中国は2020年以降、「労働力難」、「結婚難」、「介護難」の三つの大問題に直面します。

1.人口構成にゆがみ
 高齢化が進み労働人口が減っています。この決定の背景には、深刻な高齢化で労働人口が減少し、経済の安定成長に悪影響を及ぼすとの危機感があったようです。
15歳から59歳までの人口は2012年から減少に転じている一方、65歳以上の高齢者は増え続けていて、経済成長への影響を懸念する声も出ています。

2.中国の0~14歳の人口は14年時点で全体の16.5%。世界平均の27%に比べ、10ポイント以上も低く、若者の著しい減少で労働力不足が続くことが懸念されています。21年以後、労働力人口は急激に減少。特に20~34歳の「働き盛り」は毎年1100万人以上が減ると予想されています。
また、男女の人口バランスが崩れ、「結婚できない男」が増えています。

一人っ子政策の副作用として男女に歪みが生じ、女性が圧倒的に不足してしまっているようです。男子に偏重した産み分けの結果、若者の男女比のバランスが大きく崩れました。男尊女卑の意識が残る農村部などでは現在、妊娠中に女子と分かると中絶するケースも多発しています。

女性100人に対して男性が102~107人までの間であれば自然の状態だと言われます。
しかし、中国の国家計画出産委員会の統計によると、中国における男女比は118です。つまり女性を100人としたとき男性が118人となることを意味しており、世界の平均的男女比を大幅に上回っています。

・80年後(80年代生まれ)世代の構成比は女性100人に、対して男性136人
・70年後(70年代生まれ)では女性100人に対して男性が206人、男性のうち半分は結婚できない(相手が再婚者を除く)計算になるといえます。一人っ子政策は、ただでさえ男児の出産を喜ぶ価値観を強めることとなり、農村部では労働力としての意味も加わり、女児を間引くといった悲惨な現象も生んだとされています。

3.高齢化によって「介護」の問題
1960~70年代に生まれた人口ピーク層が高齢に達するため、財政を圧迫し、家庭や社会も高齢者の介護リスクに直面します。2050年には高齢者が全人口の3割を占め、「一人っ子」が両親とその父母、計6人を介護する事態も予想されています。
50年には60歳以上が全人口の35%を占め、世界で最も高齢化が進んだ国になるという国際機関の予測も出ています。急激な高齢化が進めば、年金、介護といった社会保障制度も破綻しかねません。

更に深刻には、戸籍をもたない「黒孩子」を生み出す悲劇も起こしています。

戸籍に載っていない「黒孩子(ヘイハイズ)」が大量に生まれたことが挙げられます。中国では単語の頭に黒がつくと、違法、非合法であることを指すことが多いようです。中国では、計画生育(一人っ子政策)を実施しており、超生(超過出産)の場合、社会扶養費と言う名の罰金を支払わなければ、戸籍に入れることができません。この社会扶養費と言う名前の罰金が高くて払えない家庭があるため、黒孩子が誕生します。
黒孩子は国民として認められないため学校教育や医療などの行政サービスを受けることができないだけでなく、就職などの際にも不利な取扱を受けることが多いようです。

でも、中国も黙って見ていたわけではなく徐々に緩和してはいたようです。
中国メディアによると、一人っ子政策の完全廃止で年間300万~800万人が新たに出生すると予測されます。
29日の欧州株式市場では乳幼児食品の販売増加期待を背景にダノンやネスレに買いが集まっています。中国の乳幼児食品の市場規模は190億ドルに上り、世界全体のおよそ3分の1に達しています。